映画みたいだった

帰りの満員電車で起こった出来事。
ラブライブに夢中になり、スマホをタッチしまくっていると、手前にいたギャル風の女性が大声で叫んだ。
「痴漢しましたよね!!??」

ビクッ
何事かと思って一瞬顔を上げると、そのギャル風の女性が私のすぐ右隣りにいたおじさんの手を掴み、その手を高くあげていた。
満員電車で小刻みにラブライブなんかやっていたから怪しまれて私のことを言われたのかと思ったけれど、違ったみたいだ。良かった。

「や、やってねぇよわせdrftgyふじこlp;@」
「次の駅で降りてください!!」
おじさんが必死に抵抗するも、ギャル風の女性が「次の駅で下りろ」「クソオヤジ」「ハゲオヤジ」と叫び散らしていた。あぁこれはもう終わったなと思った。
周りに立っていた強面(ガチムチ)の男性が、そのおじさんの肩を掴み、離すまいとしていた。

一瞬にして、電車内に緊張感が走る。
ヤバイ。目の前すぎる。近いって。
このとき、私はラブライブのコンボが新記録を叩き出していたため、ここで中断するわけにはいかなかった。顔をあげることもできなかった。

(シャンシャン!)
気を紛らわせてはいけない。とりあえずこれでコンボを繋げてパーフェクトを出せば、ラブカストーンがもらえる。私は気を落ち着かせ、ラブライブに集中した。

そのときだった。
「次は、▲▲駅〜▲▲駅〜」
電車内にアナウンスが流れた。

(くっ、まずいぜ。このまま電車のドアが開くと、下車する集団に押されてコンボが途切れてしまうではないか)
まだ私は諦めない。

「お前ほんっとサイテーだな。次の駅で下ろしてやるから覚悟しろよ」
ガチムチが痴漢おじさんに言い放つ。
「だから、俺はやってねぇっtあqwせdrftgyふじこlf;dpmg」
痴漢おじさんの抵抗も虚しく、周囲からサイテーコールを連呼される。

「▲▲駅〜。▲▲駅〜」
ついに駅に着いてしまった。痴漢おじさんに向かって、ガチムチの男性だけでなく、色んな人が離すまいと掴みかかってきた。おじさんの近くにいたせいで私も押されてしまい、結果、操作を誤りコンボが途切れてしまった。クソッ!私のラブカストーンを返せ!!

悔しさを胸に、平然を装って顔を上げると、周囲の乗客が両手を口で塞ぎ、痴漢おじさんを睨みつけながら『うわっ…私の年収、低すぎ…?』みたいなポーズを取っていた。
ドアが開いた瞬間、痴漢おじさんはガチムチにもの凄い早さで連行されていった。痴漢をされた女性は大変気の毒だと思うし、もし本当にやっていないんだったらおじさんに同情する。しかし今の日本ではもう痴漢冤罪で「無罪」を勝ち取るのは不可能に近い。

もし、私が痴漢を疑われたらどうしようと考えながら、とりあえず、ラブカストーンを返してほしいと思った。

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