お盆休み。実家に帰り、先ずは母の住むアパートに行った。
3ヵ月前に父と離婚した母は、家から少し離れた所にアパートを借りて一人で住んでいた。
部屋に入ると突然十畳程のダイニングリビングが広がっており、廊下を奥へ進むと六条間が二部屋あった。
この広さと間取りで家賃が5万円だというのだから驚きだ。都内だったら一家で住めて家賃13万円はくだらないだろう。
田舎の建物だから土地が余っているのか、風呂やトイレにもゆとりを感じられた。
一人暮らし始めて3ヶ月経つ母に寂しくはないかと聞くと、凄い気楽で快適に過ごせているから問題ないと答えた。
思えば二十歳という若さで結婚、私を出産をしている母は、これまでの人生は全て育児に費やしたものだった。
一番下の弟が結婚してようやく家を出て(奥さんの所にいるらしいが)、母は解放された。
人の都合・時間に合わせて食事を作る等、時間に縛られた生活から初めて解放された母はとても清々しい表情を浮かべていた。
だがこれから先の事を考えると、ずっと一人でアパート暮らしをさせる訳にはいかないと思う。そろそろ私も長男としての責任を果たさなければいけないのだろうか。
来月、その一番下の弟に子供が産まれる。
母にはそれが楽しみらしく、嬉しそうにその事を話した。
なんていうかもう、山に登っている場合では無いのである。かっこわらい。