【小笠原】小笠原の森ツアー【4日目】
2015/11/03
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昨日は妻のシュノーケリングがメインコンテンツでしたが、
嬉しいことに本日は私のターンもあります。
午前中は妻が体験ダイビング→
娘を預けて午後は私が小笠原の山散策ツアーへ参加となりました。

早朝、妻は送迎バスが迎えに来て、先にダイビングへ出かけます。
昼ごろに終わるとのことだったので、私は抱っこ紐に娘を抱え、
ゆっくり宿から街まで歩いて行く事にしました。
歩いている途中に目にしたのは、沈没船(写真で分かるかな)。
旧満州国の「濱江省」という省名より名付けられた「濱江丸」という船です。
昭和初期、本土よりサイパン島に向けて渡航中、爆撃を受けて航海不能となり、
この小笠原・父島に流れ着いたとのこと。

右を見るとこんな感じに、美しいビーチが広がります。
ここから海に潜ると、結構近くまで行けるらしいです。

車だったら一瞬だったので甘く見ていましたが、
市街まで歩くとなると意外と距離がありました。
後ろには荷物が詰まったリュックサック、全面には0歳児の娘と、
サンドイッチ状態になり暑さが半端ではありません。
汗が滝の方に吹き出てきました(後悔)。

しかし時間には余裕があります。
ハイビスカスの写真を撮ったり、植物を撮ったりと、ゆっくり2時間近くかけて街まで行きました。

歩いている途中に、妻からダイビングが終わったと連絡が入りました。
街についたら一緒にランチタイムです。
こんなクソアツいのにカレーを食うのかと、妻からすごい目で見られましたが、
暑いからこそカレーなんじゃないですか。

昼食を済ませたら娘を妻に預け、私は森の散策ツアーに参加です。
あまり大きな声では言えませんが、この時間が小笠原に来て初めて気が抜けた瞬間でした。

ちなみに散策時間は3時間ほど。
ガイドの方と一緒でなければ立ち入りができない場所を2箇所、
案内していただけるとのことです。
車道の脇に、山への入り口があったので少し驚きました。
非常に分かり辛いのですが、写真で分かるかな。

(ヤベッ、写真がブレてる)
まず1カ所目。吹割山と桑ノ木山の丁度真ん中辺りにある扇浦へ抜けるルートです。
途中、ガジュマルの木が生えているらしく、戦争当時の痕跡も残っているとのこと。
今回は途中の展望台まで行くのですが、結構眺めが良いということでワクワク。

途中、猫とネズミを捕まえるトラップが数か所設置されていました。
小笠原に生息する、アカガシラカラスバトを保護するための捕獲器のようです。
もともと小笠原には猫が生息していなかったのですが、
人間の手によって持ち込まれたことで、それが野生化。
その後繁殖した猫が、希少種であるアカガシラカラスバトを襲ってしまうのだとか。

小笠原にはたくさんの外来種が存在します。
日本(沖縄島、小笠原諸島)、グアム、ハワイ等に生息するグリーンアノールもそのひとつ。
見つけたときは茶色でしたが、

ずっと握っているとどんどん緑色に変化していく可愛いやつです。

こちらがガジュマルの木。
広角レンズを持っていなかったので、あまり引いて撮ることができませんでした。後悔。
写真ではちょっとダイナミックさが伝わりにくいのですが、
間近で見るととてつもなく迫力があります。

ガジュマルの木から垂れている糸のようなものは、根っこですね。
これが地面に接することで、それが木として太く育ち、木の本体を支える役割を担います。

いまはジャングルのようになってしまい、観光客とガイドくらいしか立ち入らないのですが、
第二次世界大戦当時、この辺りは畑があったりしたそうです。
石段や川水の流れる堀があったりと、人の手が加えられた形跡がたくさんありました。

足元を見ると、戦争当時の遺品も見つけることができます。
ガイドさんによると、これはガスマスクのようです。

謎の瓶もたくさん落ちていました。
これらの酒瓶は、戦争では水筒代わりに使われていたようです。
遺品を片付けないのも、当時の辛い記憶を忘れないためにも、という理由から。

どんどん先へ進みます。ガイドさんの説明がとても上手なので、引き込まれてしまいます。
ちなみにガイドさんは内地(小笠原の人たちは日本本土のことを内地という)から来た方で、
移り住んでから10年近くなるとのことでした。

聞くところによると、島の住人のほとんどが内地からの移住者なんですって。
逆に、小笠原出身の方は島を出て行ってしまうそうです。
ちなみに島の暮らしに憧れ、移住してきた人たちのことを、ここでは「新島民」と呼びます。

ジャングルを抜けると、前面に広がるのは絶景!
ここでガイドさんから島について色々な説明を受けました。
海の向こうに雲が見えると思うのですが、あそこでは雨が降っているのだとか。
風向き的にも、島に流れてきそうですねーと言っていました。
この位置から、一瞬ですがアカガシラカラスバトが飛んでいるのを見ることができました。

展望台でしばらく景色を眺めたら、折り返して車に向かいます。
写真では悪路に見えるかもしれませんが、定番のルートであるためか、
結構歩きやすいです。

文字通り、ジャングル。なので本当にここは日本なのか?と思えるほどでした。
内地では数々の山を歩いてきましたが、初めて見る植物ばかりです。
森のなかも非常に静かで、鳥の声も本当に耳を澄ませないと聞こえないくらいでした。
海を渡る、飛んでくる、風で飛来する(種子の場合)。この3種類しか
小笠原に到達する術がないので、小笠原は独自の進化を遂げ、ガラパゴス化しています。
よって、木にはヘビとかが巻き付いていても全然おかしくないように思えますが、
小笠原にはヘビもいませんし、猛獣もおりませんので安心ですね。

さて2箇所目は、東平アカガシラカラスバトサンクチュアリと呼ばれる場所。
ここでは野ヤギと野猫の侵入を防ぐための柵を設置し、
アカガシラカラスバトと小笠原の植物(固有種)を保護するための区画になります。

入り口はこんなに厳重。
これだけやっても、まだ猫がどこかしら侵入してくることがあるとか。

アカガシラカラスバトの天敵は猫だけではありません。
ノスリ(写真右)にも襲われてしまうのです。
そのように、「飛べばノスリに襲われてしまう」という理由から、
アカガシラカラスバトたちがたどり着いた答えは、「地面を歩く」こと。
あまり上空高く飛び回るのではなく、地面をちょこちょこ歩きまわるのだとか。

サンクチュアリの入り口では、足に付いた種子などを取り払うための道具がありました。
しっかり靴の泥を取ってから、

コロコロで靴の上、そしてズボンの裾までしっかりと綺麗にします。
ここまで徹底してやるのって、なかなかできたもんじゃーないですよ。

そしてお次はカウンター(朝アナログ)。
サンクチュアリを訪れた人は、石を筒の中に入れていきます。
そして毎日、島の人が訪問者をカウントしていきます。

足元はとても綺麗に整備されているので、もはや山歩きというよりは
自然観光に近い形ですかね。

鳥がいたので撮影してみました。
かなり近づいたのですが、全然逃げません。
ガイドさんの話によると、小笠原で生活する動物は「襲われる」ことがほとんどないため、
警戒心が著しく欠如しているのだとか。
だから人間が近づいても全然逃げないし、写真もかなり寄って撮ることができるのです。

町中でもよく見かけた、「タコの木」。
ガジュマルの木のように、つっかえ棒のように何本も枝を伸ばしていくタイプの植物です。

これが伸びて、地に刺さり、木の支えになっていくのだそうです。
先端の茶黒い部分は、「キャップ」と呼ばれていて、雨水を蓄積していく場所。
ただ、野ヤギがこのキャップを食らってしまうようなので、
放っておくとこのタコの木が育たなくなってしまいます。
なんか生き物みたいですね。

タコの木の群れ。

植物に寄生する植物(写真中央のやつです)。

土で作られたハチの巣。

ちょっと写真では分からないのですが、木にたくさんの丸マークがついていて、
その中に漢字の「八」が逆に描かれている木。
その由来から、「マルハチ」という名だそうです。

サンクチュアリの終点に到着。
丁度、先ほど展望台から見ていた雲が上空を覆い始め、少し天気が怪しくなってきました。

終点では、小笠原に生息する動物の生態系を教えてもらいました。
アカポッポ(アカガシラカラスバト)は野猫に襲われるため、猫を駆除しなければならない。
でも、猫を駆除するとネズミが繁殖しまくる。
ネズミを一掃できる薬物があるらしいが、それを使ってしまうと、
今度はネズミを餌としていたノスリのターゲットが、アカガシラカラスバトだけになってしまう。
外来種であった猫の存在も、いまはそんなこんなの相関図の中に複雑に絡んでおり、
小笠原ではこれの絶妙なバランスを保ち続ける必要があるのだそうです。
小笠原の自然、そして生態系を守ろうとする島の人の努力に、本当に感動しました。
個人的にはこういう話を聞いている方が、
シュノーケリングやダイビングより圧倒的に面白いと思うんですが!!
丁寧に案内してくれたガイドさん、本当にありがとうございました。
山の散策ツアーが終わったあとは、妻と合流して宿へ帰りました。
続く